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盛先生のインストラクション2

(続きです)
瞑想がよくなるはずなのに瞑想をやめてしまった私に、根気よくインストラクションしてくださる盛先生。

「普通に、瞑想しないで、座っているときに、感覚を感じてたりするでしょう。そうしたまま、ずーっと坐っているっていうのは」
失礼ながら、この時の私はイライラしていたと思う。
自分の「出来ない」部分をつつきまわされている、という意識があった。
どう説得されても、座って集中するという形式の瞑想は、今はしたくないのだ。
なぜなら。
なぜならば……


ああ、そういうことね!
突然、心の中にある構図が浮かんだ。分かった。

「先生、なんでこんなにも瞑想したくないのか、今わかりました」
「?どうしてですか」
「私の持っている『呪縛』の原型に、どんなに努力しても母親に『お前はダメだ』『理想通りにできていない』と責められた経験があります。
母に対する恨みは内観で解消できて今はもうありませんが、その『努力しても責められる』苦手な構図が、そのまま瞑想に上書きされてしまったんです。
必死で努力しても何の成果も上がらず、最初の瞑想指導者に、『瞑想ができないのはあなたのカルマが悪いから』と責められた経験が。
もちろん、講義で先生がおっしゃったように、母も指導者の方も、私を苦しめようとして言ったわけではなく、私の脳内で勝手に呪縛に変換されてしまったということかもしれません。
でもまあ、だから今のところは私、瞑想したくないんだと思います。」

突然、盛先生の表情があかるくなった。
「ああ、それなら、瞑想しないのが一番いいんじゃないですか。うん、それでいいと思いますよ」
やっと会話の空気がスムーズに流れだして、私の思考も動き出した。
「なので、さっき聞かれた『今よりいい状態ってどういうものだと思うか』という質問では、瞑想会に行っても瞑想しないでいて、他人に『瞑想しないの?』と聞かれても『私、瞑想は全然できないんですよ』と平気でいること。そして、そういう『瞑想』をしなくても、聞法や善行を楽しんで、情緒的に安定して、自己肯定して生きていくことだと思います」
「いいじゃないですか。
そうですね、しのさんが『瞑想しない』と言っても、『そうは言ってもやった方がいいんじゃないの』って言ってくれる人が、今はまだ10人のうち2,3人はいるかもしれません。」
「はあ」
「でも、しのさんが心の底から『自分は瞑想しなくてもいいのだ』と自己肯定しきった時には、そういうことを言う人はいなくなるんじゃないでしょうか。」
「なるほど!内側と外側が呼応するんですね」
「そうです。それにしても、これだけ長時間話して分かったことをプラユキ師は短時間で見抜いて『じゃあ、やめてみれば?』って言えたのは、すごいですね」
「そうですね。」
いやいや、盛先生の長時間にわたる追及なしでは、私はこのことに気づかなかったのですから、盛先生もすごいです。
本当にありがとうございます。



先生と駅で別れて、ひとりで電車に乗った。
車内で手帳をパラパラとめくっていて、後ろの方のページに目が留まった。
そこには、付箋に目標を書いたものがたくさん貼ってある。
「ものに執着しない」とか「慈悲の念を深める」とか「瞑想を楽しめる」のような内容で、もう何年も手帳を取り換えるたびに貼り換えているものもあった。
どれも立派な目標だ。
しかし、急になぜか、そうやって目標を立てて、「まだ目標に届いてない私」をチェックしなくてもいいじゃないかという気持ちになった。
一枚、二枚とどうでも良くなったものを除いていったら、一枚も残らなかった。
ページは白紙になった。

また一つ、私の荷物が軽くなりました。

生きとし生けるものが幸せでありますように。

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コメント

……

おではいま、モーレツに感動しとるよ。

No title

> しかし、急になぜか、そうやって目標を立てて、「まだ目標に届いてない私」をチェックしなくてもいいじゃないかという気持ちになった。

ここに胸を打たれました。
祝・解放!

No title

やっと手に入れた手放せた自分というキャラを固定したいと思ったらとたんにそこは慣れ親しんだねばべきの濁流で。
無償の愛で抱きしめたのは"あれもこれもそれもどれも全部全部込み込みのそうである自分"で。

前回ほんと余計なこと言っちゃいましたね笑
よかったです。

Re: ……

ともぞう様

コメントありがとうございます。

盛先生の愛と熱意のおかげです。
「瞑想のサリバン先生」とお呼びしたいくらいです。

こんなこと書いていてもまだまだ迷いの多い私ですので、ともぞう先生、またインストラクションお願いいたします。

ともぞうさんがお幸せでありますように。

Re: No title

けー様

コメントありがとうございます。

解放と言っても小さいものなのですが、こういう小さい経験を気長に積み重ねていければいいなあと思います。

先日ご紹介いただいた本の感想、もう少ししたらアップします。
興味深かったです。ありがとうございました。

けーさんがお幸せでありますように。

Re: No title

YMさま

コメントありがとうございます。

結局は無常なので、この気付きも「この時点限り」ということなのでしょうが、それでも楽になるのはうれしくありがたいものです。

YMさんがお幸せでありますように。

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プロフィール

しの2012

Author:しの2012
2012年から仏教を学び、ヴィパッサナー瞑想に取り組んでいます。

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