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どんな美人を見てきたか2

心に残る美しい人の想い出を書き留めておこうと思うのです。
さてお二人目は、これも学生時代に出会った方でした。
当時私はあるキリスト教会が女子学生のために開いていた女子寮におりました。そこはもう閉寮しているのですが、一人っ子で世間知らずだった私を保護してくださると同時にさまざまに学ばせてくださったありがたい場所です。
信者でなくても受け入れてくださるということで、いつも日曜にはミサのお知らせの放送をよそにゆっくり朝ご飯を頂いておりました。

寮長様と食事や日常のお世話をしてくださる専任のシスターはずっと変わらなかったのですが、途中から電話番などをしてくださるシスターが増えました。それがシスターHです。
当時もう60代後半だったのではないでしょうか。化粧っ気もなく、『美人』と紹介されればたいていの人が首をかしげると思います。特に手が男の人のように節高い、太い指でした。しかしその指で驚くほど繊細な切り紙細工を作ってくださるのです。
シスターの美しさはなんといっても表情でした。
「しのさん、よかったわね!」と何かを祝福してくださるときの笑顔を思い出すと、今でも胸がいっぱいになります。
10人兄弟で、早くにお母様が亡くなられたので一番上のお姉さまが代わりに育ててくださったのだとお聞きしたことがあります。きっとご苦労がおありだったと思いますが、シスターの表情は自分の苦しみなどにこだわることはみじんもなく、いつも思いやりに満ちたものでした。有名なミッション系の私学の小学校で定年まで教鞭をとられた方で、教職を志していた私に親身にアドバイスをしてくださいました。それは慢の強い私でも、水を飲むようにすーっと受け入れられるような、押しつけがましさのない愛にみちた語調でした。
いつでもお姿をお見かけすると、そばによって一言でも聞きたいような気持になり、困ったことがあると(シスターならどうおっしゃるだろうか)と思う、そういう方でした。
大学を出て寮を離れてからも何度かお尋ねしたり、手紙をお出ししていたのですが、もう10年ほど前にお手紙の返事に亡くなられたというお知らせをいただきました。

シスターの想い出を書いていると、私にとって美人とは顔立ちではなくやはり心なのだという結論になる気がします。

くどいようですがこの話題、まだ続きます。

生きとし生けるものが幸せでありますように。

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プロフィール

しの2012

Author:しの2012
2012年から仏教を学び、ヴィパッサナー瞑想に取り組んでいます。

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