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猫の通夜

知人の猫が死んだ。

かなり以前にこのブログの記事で触れた、知人のお店で飼われている猫だ。
運び屋 http://meisouizenn.blog.fc2.com/blog-entry-181.html

無財の七施 http://meisouizenn.blog.fc2.com/blog-entry-217.html

2016年の11月に突然下半身が麻痺、それから3年半を愛情あふれる介護に応えて、淡々と生き、いつかまた立ち上がるんじゃないかとさえ思える回復ぶりを見せながら、4月21日の夜に飼い主の膝の上で亡くなった。

猫氏(仮名。オスだった)が麻痺してからの知人夫婦は、数時間おきの膀胱圧迫による排尿と一日一回の排便介助、床ずれを防止するための体位交換とマッサージ、体調を見ながらサプリメントを調節し、こまめな給餌と水分補給、必要な時には補液(自家点滴)と、一時は周囲の皆が心配するほどやつれながらも三年半、一日も休まず猫に寄り添った。

そして猫氏のほうも、普通の猫なら到底させないような苦痛を伴う処置でも、飼い主のすることなら決して抵抗しなかったそうだ。
以前の記事でも書いたが、ケージの中で毛布にくるまれている猫氏の顔はいつも泰然としていて、飼い主に撫でられると笑顔(もちろん、猫にも笑顔はあるのである)を見せていた。
愛情表現のこまやかな猫なのだ、と飼い主はよく言っていた。

亡くなった翌日一日だけ、猫氏の最後の仕事として店にいるという知らせを受け、小さな花束とから揚げの包み(野良猫時代の猫氏の好物)を携えてお店に向かった。

店に入ると先客がいて、私の後にもすぐにもう一人。
お店のお客に愛されていてだけではなく、ネットニュースなどでも取り上げられて多くの人から関心を寄せられていた猫氏である。この日は一時店に入り切れないくらいの弔問客が訪れたそうだ。
私の番になって、お店の奥にある(さすがに何も知らないお客が来て、普通の雑貨屋の店頭に猫の死体があったら驚く)ケージをのぞき込んだら、すでにたくさんの花束に埋もれた猫氏がいた。ケージの外には遠方の人から贈られてきた、蘭を使った立派な盛花も飾られている。
笑っているような顔だ。
棺を覆いて事定まるというか、猫もの言わざれども下自ら蹊を成すというか、ここまで惜しまれるのは人間でもなかなかいないだろう。

お疲れ様でした、と飼い主をねぎらったところ「でも本当に猫氏にとってこれがよかったのか、自分のやりたいことに付き合わせてしまったのではないかと思ってしまう」と返事が返ってきた。
たしかに言葉がないコミュニケーションは決め手に欠けるけれど、では言葉が想いを解決してくれるかというと、そうとも言い切れない。
相手が人間であっても、同じ思いを抱くのではないだろうか。

ともかくも猫氏は与えられた生を立派に生ききったのだし、それに最後まで全力で寄り添った飼い主夫妻に敬意を表し、お二人に安寧があるよう祈りたいとおもう。

生きとし生けるものが幸せでありますように。
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コメント

お店の事

記事にして頂きありがとうございます。
そのお店に行き、猫氏(仮名)ちゃんのお話をお二人に伺いたいという気持ちになりました。
もし不都合が無ければ、お店の場所を教えていただけないでしょうか?

自分ちの猫にアタフタしている最中の中、この記事を読んで、猫氏ちゃんの面影に何故かか会いたくなりました。

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プロフィール

しの2012

Author:しの2012
女性。
ヴィパッサナー瞑想に取り組んでいます。

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