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『三国伝来 仏の教えを味わう インド・中国・日本の仏教と「食」』

花園大学文学部・監修 安永祖堂 松田隆行・編『三国伝来 仏の教えを味わう インド・中国・日本の仏教と「食」』臨川選書35 臨川書店

仏の教えを味わう

2016年8月に実施された花園大学「京都学講座」の内容を元にかかれた本である。この講座は京都に関する様々な分野の講演や実演を学生のみならず一般市民にも無料で開放しているものだそうだ。
身近な「食」という切り口で仏教の流れを振り返るという内容で、「第一講 ブッダの食生活」、「第二講 一日不作、一日不食―インドの戒律から中国禅宗の清規へ―」、「第三講 何時やるか、今でしょ!!―道元に下された老典座の一槌―」の三講座と3本のコラムで構成されている。
口語体で、大変読みやすい。

第一講が戒律研究でおなじみの佐々木閑先生。
いつも講演でおっしゃっている仏教の三つの定義、せっかくだから引用しておこう。

1.超越者の存在を認めず、現象世界を法則性によって説明する。
因縁、縁起による説明。

2.努力の領域を、肉体ではなく精神に限定する。
苦行の否定。

3.修業のシステムとして、出家者による集団(サンガ)を形成し、一般社会のあまりものをもらうことによって生計を立てる。
この3番目の「出家者による生産の否定」が、時代と状況によってどう変わっていったかというのが第二講のテーマ。


第二講 一日不作、一日不食―インドの戒律から中国禅宗の清規へ― 柳幹康
仏教が中国に渡って根付く過程で起きたのが肉食の許容から禁止、文化的な背景だけではなく梁の武帝による政治的な介入があったことをこの項目で初めて知った。
他にも労働の禁止から許容、調理の禁止から許容、夕食を(食事ではなく治療として)摂取するようになった変化とその理由が分かりやすく書かれていて、漠然と感じていたテーラワーダの比丘方と日本大乗のお坊さんたちの生活様式のギャップが、すこしすっきりしたような気がする。


第三講 何時やるか、今でしょ!!―道元に下された老典座の一槌― 中尾良信
曹洞宗の開祖、道元の教えにおける「食」がテーマの講演。
タイトルは『典座教訓』の、道元が留学中の中国で典座の老僧に一喝されたエピソードから。
老僧が灼熱の中で海藻を干しているのを見て「なぜ他のものにやらせないのですか」と聞いたところ、「他(かれ)は是れ吾れにあらず」(他人に頼んだのでは私の修行にならない)といわれ、「それにしても、こんな暑い中でやらなくても」といったところ「更に何れの時をか待たん」(いまやらないで、いつやるの)と言われ、道元は言葉もなかった。

老僧の意としては「日が陰ってから干したって意味ねえだろう」ぐらいだったかもしれないが、その言葉の中に道元が見出したのは自分の中にあった食事係への「たかが」という気持ちだったという解説、非常に面白かった。

収録されているコラムも中国、韓国、日本の精進料理に関するもので、それぞれ興味深かった。

生きとし生けるものが幸せでありますように。

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しの2012

Author:しの2012
女性。
ヴィパッサナー瞑想に取り組んでいます。

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